国語 長文読解はロジックで解け!④物語文を解くポイント!(中学受験~大学受験まで)全5回
こんにちは。あおもぐたんです。
今回は「国語 長文読解はロジックで解け!全5回」のうちの第4回目をご紹介させていただきたいと思います。
「国語 長文読解はロジックで解け!全5回」の内容は以下の通りです。
国語 長文読解はロジックで解け!全5回
①マンネリな問題パターンを知る!②マンネリな問題形式を知る!
③物語文に共感性や感性は不要!
④物語文を解くポイント!
⑤論説文は接続詞で解く!
今回は④物語文を解くポイント!についてです。
それでは早速いってまいりましょう。
④物語文を解くポイント!
1.物語文の冒頭文で、登場人物をマークせよ!
物語の冒頭文には、登場人物の紹介がなされていいます。
まず最初にやることは、登場人物の名前と年代、職業、人間関係を把握することです。これらの内容が書かれている個所を〇で囲んでマークしておきます。多くても3人程度なので、それほど恐れることはありません。
難易度の高い問題(わたしは意地悪問題と呼んでいますが)になってくると、冒頭文だけではそれらのことを把握することができない場合があります。その場合は、読み進めるに従って、次第に明らかになってきます。
2.登場人物の気持ち(主に主人公)を探る!
物語文の問題には必ず人の気持ちが問われます。そのため登場人物の気持ちを把握しておく必要があります。
登場人物の気持ちを探る方法は3つあります。
登場人物の気持ちが表現されている個所は、全て線を引く習慣をつけるようにしてください。後で見返すときに必ず役立ちます。
それでは1つ1つ順にご紹介してまいりたいと思います。
(1)「気持ちを表す言葉」から探る
野生に返したポン吉(タヌキ)が再び戻ってきた。明夫は嬉しかったが、明子は悲しかった。戻って来たということは、ポン吉はもはや野生では生きていけないということを意味するからだ。
嬉しい、悲しい、不安、楽しい、驚く、腹が立った、など、気持ちがストレートに表現されている個所に線を引きます。
(2)「動作」から気持ちを探る
明夫はスキップしながら家を出て行った。
⇒嬉しい、楽しい気持ちを表す動作明子はうつむきながら歩いた。
⇒悲しい、落ち込んでいる気持ちを表す動作
人の気持ちは動作に現れます。動作から気持ちが探れるような個所に線を引きます。
(3)「情景描写」から気持ちを探る
明夫の目の前には青空が広がっていた。
⇒すがすがしい気持ちを表す情景
どんよりとした雲が明子の目に映った。
⇒落ち込んでいることを表す情景
作家さんはしばしば情景描写で登場人物の気持ちを表現します。
登場人物から見える情景描写に線を引きます。
(4)「プラスかマイナスか」だけでも判断する
どうしても気持ちを探るポイントがわからない場合は、登場人物の気持ちがプラスなのかマイナスなのかを探るだけでも大丈夫です。
家に帰ると家の中は静かだった。明子は病院へ行く日なのでいない。明夫は誰もいないしーんとした家で、一人でおやつを食べていた。外の風が強くなってきたようだ。そろそろ電気を付けようかな。
すると不意に、今日学校で起こった出来事を思い出した。
「今日、やっちゃんとケンカしたんだよな。」
このときの明夫の気持ちは、腹を立てているのか、後悔しているのか、寂しいのかはっきりとは分かりません。ですが、決して楽しい様子ではないことがわかります。
このように気持ちが明確に探れないときは、「プラスの感情かマイナスの感情か」の二択だけで判断するだけでも大丈夫です。
3.登場人物の性格や立場を探る
登場人物の性格や立場を探ることも重要です。
なぜなら人は同じ体験をしても、
性格 立場 考え方 体質 好き嫌い 家庭の事情
などによって、とらえ方や行動に差が出てくるからです。
例えば、捨て猫を目にしたとき、人々の反応はそれぞれ違います。
Aさん ⇒猫がかわいそうなので一旦家に連れて帰ります。
Bさん ⇒無責任にえさを与えると、かえって猫に期待させてしまうことになり、その方がもっとかわいそうだと考え、心を鬼にして関わりを避けます。
Cさん ⇒食べ物を与えて立ち去ります。
Dさん ⇒知人や警察に連絡して、捨て猫のことを相談します。
Eさん ⇒猫アレルギーなので見て見ぬふりをします。
Fさん ⇒すでに猫を2匹飼っていてこれ以上は飼えないため、仕方なくその場を立ち去ります。
このように人の行動は様々であり、画一的ではありません。
登場人物の性格を探る方法も、上記「2.登場人物の気持ちを探る!」と同じく、
(1)ストレートに表現されている個所(例 明夫は気が強い)
(2)行動を表す個所(例 明夫はいつも遅刻する⇒ルーズ)
(3)情景描写(木が幽霊のようだ⇒怖がり)
に注目すれば登場人物の性格を探ることができます。
4.心情の変化に気を付ける!
物語が進行するに従って、何かの動き(きっかけ)の後は、必ず心情の変化が起こります。
「今日、やっちゃんとケンカしたんだよな。」
「でもあれはやっちゃんも悪いんだよ。」
おやつを食べ終わった明夫は、なぜか宿題をする気になれず、しばらくテレビを見ることにした。ちょうどその日は明夫の大好きなボケモンアニメの再放送の日だった。明夫はいそいそとテレビを点けた。しかし大好きなはずのボケモンアニメがどういうわけか、今日は全く楽しめない。ビバチュウがサト子に向かって「ビバ~」と言った瞬間、明夫は不意にやっちゃん家へ行こうと思いたった。
玄関の鍵もかけずに明夫は家を飛び出した。そしてものすごい勢いで森の中を駆け抜けた。
もうお分かりですね。緑の文字の中にヒントがあります。
ここで明夫の心情の変化を整理してみます。
❶おやつを食べ終わった時
⇒悶悶とした気持ち
❷テレビを点ける直前
⇒高揚した気分
❸テレビを見ている時
⇒やはり悶悶とした気持ち
❹ビバチュウがサト子に「ビバ~」と言った瞬間
⇒悶悶としている原因に気が付いた
⇒やっちゃんと仲直りをしたいという気持ち
❺家を出た時
⇒早く仲直りがしたいと急く気持ち
なんと、たったこれだけの文章の中に明夫の心境の変化は6段階もありました。
つまり物語というものは、ほとんどが
「動き(きっかけ)⇒ 心情が変化する」
のループになっています。
心情を問われる問題が、どこの動き(きっかけ)の部分なのかをしっかり把握することができれば、気持ちを問われる問題でひっかかることがなくなります。
5.主観や一般常識を捨てよう!
前回の記事でも書きましたが、物語文を解くには主観や一般常識は不要です。必要なのは、客観性です。
例を挙げておきます。
「友樹君の家にいったわよ。」
やっちゃんのお母さんはそう言った。その時明夫の心に、やっちゃんと友樹が楽しそうに遊んでいる姿が脳裏に浮かんだ。自分はこんなにやっちゃんと仲直りをしたいと思っているのに、やっちゃんは気にもしていない。するとそこに、庭に干してあったやっちゃんの長靴が目に入った。明夫は咄嗟に※やっちゃんの長靴を草むらに隠した。
明夫、悪いヤツですね~。 (笑)
さて質問です。 ※印 このときの明夫の気持ちはどれですか。
1.やっちゃんと仲直りできなくて悲しい気持ち
2.友樹に嫉妬している気持ち
3.やっちゃんを困らせたい仕返しをしたいという気持ち
4.早く仲直りがしたいと焦る気持ち
5.長靴を隠すなんていけないことだけど、仕方がないと思う気持ち
もうおわかりですね。正解は3です。
なぜなら一般的には「友達の長靴を隠すなんて絶対にダメ!」ですが、今問われているのは明夫の気持ちです。一般常識は関係ないからです。
主人公が良いヤツとはかぎりません。
今までの言動から考えると、明夫はしおらしいタイプではありません。しかも衝動性があります。友樹のことは深く考えていません。明夫のターゲットはあくまでも、やっちゃんただ一人です。従って、一般的には悪いことでも、明夫の性格や気持ちから考えると、3が正解になります。
物語文で気持ちを問われた場合は、主観や一般常識をきっぱり捨てましょう。
あくまでも登場人物の性格や立場にたった気持ちを探ることが大切なのです。
6.おまけ
物語の主人公は聖人君子ではありません。
失敗したり、未熟だったり、イジイジしていたり、カンチガイをしていたり、超マニアックだったり、自分に陶酔していたり、短気だったり、逆に平凡すぎたりします。
何らかの問題を抱えている人が多いのです。やきもきさせられる人が多いのです。
なぜなら、聖人君子が主人公だと物語にならないからです。
つまり物語というものは、キテレツな人間が大集合する面白い世界なのです。物語文をロジックで解く一方で、キテレツな人間が登場する面白い世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
次回は⑤論説文は接続詞で解く!のご紹介です。
ご精読ありがとうございました。
国語 長文読解はロジックで解け!の過去の記事はこちらです。
併せてご覧ください。