相貌失認がんばり隊

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相貌失認が原因の複雑性PTSDで一時的に暴力的になることも

これからご紹介する内容は、まだソボが「複雑性PTSD」と診断される以前のお話です。

ソボは、複雑性PTSDの症状のため、約1年ほど暴力的になった時期がありました。

ソボがなぜ複雑性PTSDを発症したのかにつきましては、下記の過去記事をご参考ください。
ソボはどちらかというと、幼いころから明るくておっとりしたタイプだったのですが、高校1年生の終わり頃から、急に暴力的になりました。

怒りに任せて家の壁を飛び蹴りしたり、プラスチック製品のハンガーや洗面器を噛んで壊したりするようになりました。

 

初めのうち私は、反抗期ではないかと考えていたため、ソボの暴力的な行為にひどく腹を立てていました。ですがすぐに、ソボの様子に違和感を覚え始めました。

その上ソボは、怒りが爆発すると靴も履かずに外へ飛び出し、ダッシュしてどこかへ行ってしまうようになりました。学校にいるときも、フラッと校外出て行方不明になったことがあります。そのくせ本人は、その時のことを一切覚えていないのです。なぜ自分が、いつの間にか違う場所へ移動しているのか、全く記憶していませんでした。そして我に返った後は、普段のおっとりした状態に戻っているのです。

この時期がソボにとっても家族にとっても、最もつらく苦しい時期でした。私はどうしてよいか分からず、腫れ物に触るようにソボに接していました。やがて私自身も疲れ果て、次第に抑うつ状態になっていきました。

当時通院していた医療機関にも相談してみましたが、原因は分かりませんでした。

実はこの症状は、後になって分かるのですが「複雑性PTSD」の症状の一つである「解離性障害」の症状だったのです。

そのためソボは、自分自身の記憶が所々抜け落ちていました。人の顔や周囲の状況ばかりでなく、自身の過去のことも分からないという、不安と恐怖と混乱の日々が数年続きました。

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(ちょこぴよさんによる写真ACからの写真)


ですが当時私には、一つだけどうしても分からないことがありました。

わが家には暴力的な人はいません。ましてやソボは、活発に動くタイプではありません。机に座って何時間でも、読書や創作活動をするようなタイプでした。

それなのに「壁に向かって飛び蹴りする」というアクションを、一体ソボはどこで覚えたのでしょうか?

激しい怒りのアクションと言えば、「机を叩く」「物を投げる」「怒鳴る」「地団太を踏む」「足を踏み鳴らす」くらいしかできないのではないでしょうか。

それなのに怒りを表すために、なぜわざわざ空中高くピョーンと飛び上がってまで壁を蹴る必要があるのでしょうか?

 

自分も痛い思いをしますし、下手をするとケガをする可能性だってあります。


私にはそれが全く分かりませんでした。

ところがその答えは、複雑性PTSDの治療中に分かることになります。

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(canmaruさんによる写真ACからの写真)


カウンセリングやEMDRの回数を重ねる度に、ソボの記憶の扉が少しずつ開いていきました。そしてソボの抜け落ちた記憶が完全に戻るまでに、1年ほどの期間が必要でした。

その結果、ソボの記憶の中に、該当する人物が二人現れたのです。そのうちの一人は、怒りに任せて飛び蹴りをするだけではなく、叩く、暴言を吐く、人格をバカにする、動物虐待の話をする、などの行為も繰り返し行っていました。

それらの行為がソボに向けられたときもあれば、他の人に向けられたときもありました。ですが暴力というものは自分に向けられても、他者に向けられても恐怖を感じるものです。

 

それは子供の心に深い傷を残すだけではなく、怒りの感情をも植え付けました。

恐らく数年間の間、ソボは体中の血液が逆流するほどの強い恐怖や怒りを感じてきたのではないでしょうか。

やがてソボの脳は、現状に適応するために「解離」という、感情を麻痺させ、記憶を自ら封印するという道を選びました。精いっぱいの自己防衛機能です。

ですが、記憶が封印されてもなおソボの中では、無意識にもその人たちへの激しい恐怖や怒りでいっぱいだったのではないでしょうか。

その証拠に、記憶を封印しているにもかかわらず、怒りを表現するときに

 

「わざわざ空中をピョーンと飛んで壁を蹴る」

 

という恐ろしく手間のかかる方法を選んだのですから。

もしかしたら、その人達と同じアクションをすることによって、無意識にその人達へ反撃していたのではないのでしょうか?

そしてソボの現実世界での怒りの矛先は、人ではなく、壁やハンガーなどの「モノ」へむかったことにも理由があります。

恐らくソボは、人を攻撃したり暴力をふるったりする人達のことを激しく嫌悪していたのではないでしょうか。

 

そのような人達と同じになりたくないと、ずっと思っていたのはないでしょうか。

 

だから行き場のない怒りの矛先を「モノ」に向けるしかありませんでした。

攻撃的な人達は、怒りの表現方法や対処方法を学んでこられなかった人達だと考えられます。

 

怒りを感じたときは、相手に言葉で淡々と伝えれば良いのです。その方が相手に気持ちが伝わります。暴力や攻撃は必要ありません。ましてや怒りの矛先を関係のない人に向けてはいけないのです。

 

どうしても自分では怒りに対処できないというときは、専門家や周囲の人に相談するのも、一つの方法だと思います。人から学ぶことはたくさんあります。

学校教育でも早い段階から、情操教育の一環として、感情表現や怒りの処理方法、専門相談機関への取り次ぎなどを取り入れたら良いと思います。

 

さすればもっと、より良い社会になるのではないでしょうか。

ご精読ありがとうございました。