相貌失認の人は統合失調症と診断されることがある
相貌失認の人は、統合失調症と診断されることがあります。
実際に相貌失認のソボは、矯正前と矯正後に統合失調症と診断されたことがあり、合計で3年ほど投薬治療を受けました。(後に撤回されましたが。)
ではなぜ、相貌失認の人は統合失調症と診断されてしまうのでしょうか?
統合失調症の症状とともに、原因を考察してみたいと思います。
統合失調症とは
まず、統合失調症について簡単にご説明させて頂きたいと思います。
統合失調症の主症状は次の5つです。
①妄想(ありえないことを信じる)
②幻覚(存在しないものを見たり聞いたりする)
③思考障害(思考が支離滅裂になる)
④まとまりのない行動(急な興奮、あるいは無反応)
⑤陰性症状(無感情、意欲の低下)
統合失調症の症状と相貌失認の見え方から考えられる原因
幻覚
統合失調症の人は幻覚があります。現実にはないものを実際にあるように感じます。幻覚には、幻視・幻聴・幻触・幻嗅・幻味などがあります。
<相貌失認の見え方から考えられる原因>
相貌失認の人は、人の顔全体を認識できないため、人の方を向いて話す習慣がありません。すると周囲の人は、相貌失認の人が独りで勝手にしゃべっているように見えます。その様子が、統合失調症の人が幻聴や幻覚に対してしゃべっている様子とよく似ているのです。
また相貌失認の人は、注目した部分がインパクトを伴って、拡大されて見えます。ソボは相貌失認時代に、よく空中のホコリを見つめていました。動きがあって幻想的で面白いそうです。ですが周囲の人から見ると、何もない空中を見つめているように見えます。その様子が、統合失調症の人が幻覚を見ている様子とよく似ているため、間違えられやすいと考えられます。
思考が支離滅裂になる
統合失調症の人は考えがまとまらなくなります。話が支離滅裂になったり、相手の言っていることもすぐには理解できなくなったりするため、会話がかみ合わなくなります。
<相貌失認の見え方から考えらえる原因>
相貌失認の人は、風景の一部分しか認識できないため、周囲の状況がわかりません。そのため周囲の人から見たら、一見すればわかるようなことでも理解できない、或いは的外れなことを言っているように、思われてしまいます。
このような状態が、統合失調症の症状と誤解されてしまうのです。
視覚変容
統合失調症の症状の一つに、物体の見え方が実際と異なる「視覚変容」というものがあります。
<相貌失認の見え方から考えられる原因>
相貌失認の見え方の特徴の一つに、「奥行きがわからない」という症状があります。この症状が、統合失調症の「視覚変容」の症状に当てはまると思われるようです。
まとめ
相貌失認の人は、見え方による言動から、統合失調症の以下の症状を発症しているように見えます。そのため、統合失調症と診断されやすいと言えます。
- 幻覚(幻視・幻聴)があるように見える
- 思考が支離滅裂に(会話がかみ合っていないように)感じられる
- 相貌失認の「奥行きがわからない」という症状が、統合失調症の「視覚変容」の症状と診断される
そのため、ソボは3年ほど(1年半、間を空けて、1年半)統合失調症の投薬治療を受けました。ですが症状の改善が全く見られなかったため、よくわからないということで、治療は打ち切られました。
その後、相貌失認矯正メガネの着用の他に、複雑性PTSDとパニック障害の治療を行ったところ、普通の日常生活が送れるようになったのは、これまでの記事の通りです。
本当の原因にたどり着くまでに10年ほどの苦しい紆余曲折がありました。
現在、何かで辛い思いをされている方がいらっしゃったら、諦めずに模索し続けることをオススメ致します。(休み休みでいいです)
たとえすぐに答えは出なくても、何かヒントがあったり知識がついたりします。
また、気持ちの持ちようにも少しずつ変化が出てきます。
みんなで一緒にがんばりましょうね。
ご精読ありがとうございました。
(参考書籍:統合失調症スペクトラムがよくわかる本 糸川昌成)