相貌失認の子供は、なぜ手を使った遊びを好むのか
相貌失認のソボが子供時代に好んでいた遊びには、ある共通点があります。
それは「手を使った遊び」です。
そもそも相貌失認の人は見え方の特徴上、「見て楽しむこと」ができません。そのため自分が楽しむためには「手を使って遊ぶ」しか方法がないのです。
そこで今回は、相貌失認のソボがよくやっていた遊びと、興味を示さなかった遊び等について、それぞれご紹介していきたいと思います。
相貌失認早期発見の手がかりの一つとして、参考にして頂ければ幸いです。
好んだ遊び(手を使うタイプ)
砂遊びと粘土
よく砂山トンネルを作ったり、紙粘土でいろんなものを作っていました。粘土は、あらかじめ色が付いているカラー小麦粘土よりも、自由に色付けができる白い紙粘土の方を好んでいました。
ブロック
我が家には2種類のブロックがありました。それは、「レゴ」と「学研のニューブロック」です。なぜかうちの子供たちは殆どレゴで遊ぼうとしませんでした。(私はレゴ大好き世代ですが・・。)
ですが学研のブロックの方では、ほぼ毎日遊んでいました。家や基地・家具・乗り物など、その場に必要なものをブロックで用立てていたようです。(笑)カラフルでやわらかくて大きいので、小さなお子さんにも安心です。組み立ても取り壊しも、力まずスムーズに行えます。
こちらのブロックは、本当は上の子のために購入したものなのですが、ソボは1歳~小学校5年生まで約10年間、バッチリ遊びました。
段ボール工作・お絵かき
誕生日のプレゼントは何がいいかと聞くと、毎年「段ボール!」と答えるほど、段ボール工作が大好きでした。段ボールで家や乗り物を作って遊んでいました。
その他にも「ぴったんコーン」というトウモロコシでできたブロック?が好きでした。これはチョット面白いですよ!なんと水をつけるだけで簡単に組み立てられます。しかも元々トウモロコシでできているので、子供が舐めても安全です。
出来上がった作品を千切って(またはハサミでカットして)再びバラバラにしてリサイクルすれば、あと2~3回は遊べます。ですが、だんだんわけのわからないオゾマシイ物体になっていくことは否定できません。(笑)
お絵かきグッズには、100均のクレヨンや色鉛筆が大活躍しました。自分でさまざまなキャラクターを創造していました。過去記事にあるメンタマシリーズもその中の一つです。
木製のパズル
こちらは3種類ありました。
一つ目は、「パターンブロック」という模様を作るブロックです。平面的なので、並べて好きな模様を作ります。とてもキレイなので、完成すると「おお!」という感じになります。これは親の方もハマりました。
ドミノ倒しとしても使えます。
二つ目は、「アトリエフィッシャー六面体パズル(動物)」です。16個の立方体で絵を完成させるのですが、一つの立方体6面にそれぞれ違う絵が描かれているため、6種類の絵を楽しむことができます。
こちらのおもちゃは、スイスのアトリエフィッシャー社というメーカーで製作されています。
スイスのカエデの木で作られているため、温かみがあってとても丈夫です。積み木として遊ぶこともできます。
三つ目もやはりアトリエフィッシャー社のキューブモザイクパズルです。こちらも六面体になっています。
組み合わせによってきれいなモザイク模様が作れます。図形センスも磨けます。カラフルなので、魚や肉などの食料に見立てて、遊んでいました。もちろん、積み木としてもOKです。
楽器やPCキーボード
自己流ですが、ピアノ・マンダリン・チェロなど、指先を使う楽器を好んで弾いていました。
また5歳のときに、PCキーボードのブラインドタッチ(ローマ字入力)を教えたところ、2日くらいで覚えてしまい、その後は練習用ソフトで夢中になってキーボードを叩きまくっていました。いつのまにか、超高速ブライドタッチャーに成長していました。
折り紙
現在でも、子供の頃に買ってあげた折り紙の本を見ながら、時折遊んでいます。折り紙は100均で購入していました。
好んだ遊び(その他)
虫・動物関連遊び
虫・獣・鳥・魚類・海洋生物・爬虫類などあらゆる生物に興味がありました。
ごっこ遊びをするときはいつも、生物界の設定で遊んでいました。虫を捕まえて観察することも好きでした。
スイミング・水遊び
水中にもぐることが大好きでした。
絵本や児童書
絵本や児童書・読み聞かせが大好きでした。本はテレビと違って静止しています。しかも平面的です。
相貌失認の人は、立体的なものや動画は苦手です。ですが本のように、平面的かつ静止している媒体に関しては、視線を左右上下に走らせれば認識することが可能なため、楽しんむことができたようです。
また、わが家のリビングには本棚が常設されていたということもあり、暇なときはいつも本を引っ張り出して眺めていました。
特に好きだった児童書は、星新一氏のシリーズとロアルドダール氏のシリーズです。
絵本では長谷川攝子氏の「めっきらもっきらどおんどおん」や永井鱗太郎氏の「やんすけとやんすけとやんすけと」です。
これらの本に共通しているメッセージは「ありえない展開と世界・ユーモア・発明・工夫」といったところでしょうか。作家の皆さんはすでに他界されていますが、いずれも名作です。
興味を示さなかった遊び
- 人間界設定のままごと
- 人形あそび
- ゲーム全般・たまごっち
- シール手帳・シール集め
- おしゃれ・アクセサリー関連
- 芸能人
怖がった遊び
- 鬼ごっこなど、広いところで体を動かす遊び
- ドッジボールなど、ボール遊び全般
まとめ
相貌失認の人は、風景全体や奥行きを認識することができません。
そのため相貌失認の子供は「見て遊ぶ」ことよりも「手を使って遊ぶ」方を好みます。
例えば、創作活動・ブロック・パズル・楽器演奏・キーボードなどです。
メリットは、手先が器用になる、知能が伸びる(かもしれない)ということですが、デメリットは、友達とゲームをやったり、一緒に出掛けたり、一緒に運動したりすることができないことです。
基本的には個人活動の遊びに偏ってしまいます。
また、手を使わない遊び方としては、虫の観察や読書などがありますが、やはり動きの少ないものを見るほかなかったことが伺えます。
体を動かすことは好きだったようですが、風景や距離感が認識できない以上、ぶつかったり転んだりする恐怖があり、なかなか実行できませんでした。
ところが水中では、水という媒体のおかげで、ぶつかったり転んだりする心配がなかったため、安心して過ごせる場所だったようです。プールでは生き生きとしていました。
あとがき
ソボが相貌失認矯正メガネを着用してから4年経過しました。
ここ4年間で、ソボの興味の対象が「創作・観察・作業系」から「鑑賞系」へと緩やかにシフトしていきました。
現在では創作活動をすることは殆どなくなり、もっぱらゲームやアニメなどの動画に入れ込んでいます。あの創作三昧の日々はいずこにいってしまったのでしょうか。おーい!
そのようなわけでして、現在はヒマさえあればスマホスマホです。今時のどこにでもいる若者と同じになりました。さて、果たしてこれで良かったのでしょうか、良くなかったのでしょうか?
私は良かったと思います。なぜなら昔は全く動画を楽しむことができませんでした。友達と一緒にゲームをすることができませんでした。人の区別がつかなかったため、SNSもあまりできませんでした。
だから、たとえスマホ三昧の日々だとしても、スマホを見ながらニヤニヤしているソボの笑顔??が、親としてとても嬉しく、胸にジンと染み入るのです。ですから「良かった」のだと思います。
ご精読ありがとうございました。