相貌失認のそばにはいつもキョーレツワンコ
わが家ではQスケというワンコを飼っています。とてもかわいいので家族みんなで可愛がっています。
みんなは毎日「Q助、カ~ワイイねぇ♡」と何度も言います。するとソボもつられて「カワイイね」とオウム返しに答えます。ですがなんというか、ソボだけセリフに実感がこもっていないのです。本当にかわいいと思っているように聞こえないのです。
カワイイと感じる感性が、私とソボとでは違うのかもしれない、と私は思いました。
でもそれもそのはず。相貌失認のソボがワンコを見ると、このように見えるのです。
目だけ、鼻だけ、頭だけが、インパクトを伴って拡大されて見えるのです。
確かにこれだけでカワイイと思える人は少ないのではないでしょうか。人にもよりますが、大多数の人は動物の全体像を確認できて初めて、カワイイとかコワイとかいう感情が芽生えるのではないでしょうか。まず、動物全体を見る。そしてしばらく観察してから、目がカワイイ、しっぽがカワイイと、細部へ意識が向いていくのではないでしょうか。
相貌失認の場合は、この順番が逆になります。まず細部から入っていきます。ですがそこでストップです。いつまでたっても全体像は見えてきません。だから感情が芽生えてこないのです。
(詳しくは過去記事 相貌失認の見え方の特徴①②③をご覧ください ↓ )
ですが、相貌失認の人にも全体像を把握する方法があります。それは、「自分が認識した細部を頭の中でパズルのようにつなぎ合わせ、全体像を完成させる」という方法です。ですがこれはあくまでも想像の上、完成させた全体像になりますので、実際の形や縮尺とはやや異なります。
したがって相貌失認の人は、実際の形とは異なる形状で、世の中の物を記憶しています。
そのようなわけで、ソボが記憶していたワンコの全体像はこうなります。
頭はモリッ!
目はギョロッ!
鼻はブニュッ!
毛の塊がデーン!
各パーツが強調されたキョーレツワンコです。ソボが心から「カワイイね」言えなかった理由がここにありました。
それにしてもこんなワンコが家の中を毎日ウロウロしていたら、たまったもんじゃありません。私なら悲鳴を上げて逃げ出していることでしょう。