相貌失認がんばり隊

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相貌失認の人はジェットコースターが怖くない

相貌失認が矯正される前、ソボはジェットコースターが大好きでした。
一方私は、昔から高い所が苦手です。もしジェットコースターに乗る機会があったら失神してしまうかもしれません。ですがソボはそんな私の影響を全く受けず、幼いころからジェットコースターに飛び乗っていました。

相貌失認の人は、世の中が平面に見えます。そのため奥行きや距離感をつかむことができません。だから高いところに昇っても平気なのです。ですがその半面、思いもよらぬケガをすることが多いのです。

例えば、道路と溝蓋のわずかな段差を認識することができず、つまずいて転んでしまいます。ジャングルジムに昇ると、地面との距離感を認識することができず、勢いよく飛んでしまいます。ボールが飛んでくると距離感を認識することができず、キャッチしたり避けたりすることができません。球技は全くできないと言っても過言ではありません。

写真のような世界で生きてきたソボにとって、ケガをすることは日常茶飯事でした。手足には年中、打撲や擦り傷がありました。写真の世界は非常に危険でした。

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ところが、矯正メガネをかけてから1年後くらいのことです。家族で都内の遊園地へ出かける機会がありました。

私たちはてっきりソボが喜ぶと思っていたのですが、ジェットコースターを見上げているうちにソボが小声で言いました。

「乗りたくない。怖い。」


ええ?私は耳を疑いました。あんなにジェットコースターに乗りたいと言っていたのに、なんでなんで?

でも私はすぐにピンときました。矯正メガネの着用で、立体感や距離感を認識できるようになったからです。ソボが立体の世界で生きている証拠です。高い所に対する恐怖が芽生えたのだと思います。

子供のころ顔を紅潮させ、嬉しそうに飛び乗っていたジェットコースターは、すでにソボの人生に必要のないものとなってしまいました。それは即ち、もう家族で遊園地に遊びに来ることはないだろう、ということを意味していました。

ソボの恐怖心の芽生えはとても嬉しかったのですが、反面、少し寂しい気持ちにもなりました。